TOPPAN グループが提供する商品・サービスにデジタル技術で横串を通し 、お客さまの課題に付加価値をつけて応えるTOPPANデジタル株式会社。近年はあらゆる企業・組織のDX化にスピーディに応えるため、開発プロセスの自動化や、継続的インテグレーション/デリバリーにも挑戦。高い品質管理も維持しているという。そんな同企業において、あらゆる企業のDXを担うICT開発センター山本絢葵さん、慶田尚也さんに、Autifyを活用したテスト自動化への取り組みについて伺った。
— 貴社の歴史やお二人の所属部署、担当業務などについて教えてください。
山本さん:弊社は1970年に国内で初めてコンピュータによる組版を実用化するなどデジタル技術を活用してきたことから、お客様からのデジタル化のご要望にお応えし、外販用のシステムも開発するようになった経緯があります。私は現在ICT開発センターDX開発一部に所属しており、お客様の要望を元にシステム開発を進める受託開発に取り組んでおります。また、これまでは受託でシステムを開発することが多かったのですが、最近では月額の利用料をいただいて提供するクラウド型のサービスの提供も始め、継続的に開発を続けています。私の主な担当業務は受託案件の要件整理や、お客様とのコミュニケーションです。
慶田さん:山本と同じくDX開発一部で、開発リーダーを担当しています。開発を担当しているシステムおよびその機能開発における設計と、フロントエンド、バックエンドの開発業務を行っています。我々が所属する部署は約12名で、2チームに分かれて業務を分担していますが、開発業務を外部の協力会社に依頼することもあります。
— ご担当されているアプリケーション開発の事例を教えてください。
慶田さん:私が担当している大手飲食企業様は、過去に店舗からの発注と本社の承認のフローを束ねるシステムがなく、メールでやり取りをしていました。その効率化のため、2019年に弊社でアプリケーションの開発をしました。他にも弊社全体としてご依頼いただく企業の業種は幅広く、DXの需要も拡大しています。
— アプリケーション開発のテストで、どんな課題がありましたか?
山本さん:開発の度に同じようなリグレッションテストを繰り返しました。すると、知見のあるメンバーにテストケースの作成を委ねてしまい、そのメンバーの業務負荷が高くなります。受託案件においては特に、お客様とお約束をしている納期の重要性は非常に高いため、限られた時間の中で必要なテストをやり遂げねばならないという課題がありました。
慶田さん:リリースまでの工数を算出する際に、新規機能の開発が中心になり、テストに割ける日数もタイトな状況でした。そのため、品質担保のためにもこの状況を改善するべきだと考えていました。
山本さん:そのような経緯があり、テストを可能な限り自動化することで、その課題を解消できればと考えました。今回弊社が開発を担当しているお客様のインフラのリプレイスがあり、システム全体のテストをしなくてはならないタイミングだったので、自動化に踏み切りました。Autifyを一度導入して、自動テストを作れば今後もそのテストを継続的に利用できますし、部署全体で使えるようになることも期待して導入を決めました。
— テスト業務の属人化の課題に対し、再現性の高いテストを作成するために、Autify導入前に何か実施したことはありますか?
山本さん:一般的な手法ではあると思いますが、テストケースやテスト手順の詳細をExcelに書き起こして部署内で共有していました。
慶田さん:先ほど山本が申し上げた手法ですすめていましたが、結局うまくいかないというケースが続いていました。また、お客様から頂いている予算の中で、テスト手順の整備をうまく完結させることが難しい状況でした。
— 開発フローの自動化は、部署全体のテーマとして取り組んできた背景があるのでしょうか。
山本さん:自動化ツールやサーバレスなツールを積極的に利用し、開発業務の自動化を推進することは他部署や他のプロジェクトでも存在しました。テストにおいても、テストコードを書き、自動化にトライしたチームもありました。しかし、テストコードを書き、メンテナンスを実施するためのリソース確保が難しく…。より簡単にテストを自動化し、開発の効率化・自動化を行いたいという現場の声がありました。
— Autify導入までのプロセスの中で、トライアル利用をしていただいた際の使用感についてお聞かせください。
慶田さん:これまでノーコードのテスト自動化ツールを使用したことはありませんでしたが、思っていた以上に簡単に操作できました。
山本さん:トライアルでは、普段テストケースを作成しているメンバーにAutifyを操作してもらいました。メンバーからの反応がとても良く、早々に「導入したい」と前向きな意見が寄せられました。Autifyヘルプセンターの日本語ドキュメントも充実しておりわかりやすく、チーム全体からの評価も高かったです。Autifyはノーコードで利用できることが大きなメリットですね。コーディングが必要なテスト自動化ツールの場合はシナリオを理解した上でコーディングの学習も必要になるため、利用ハードルが高いです。実際に新入社員にもAutifyを使ってもらったところ、問題なく操作できたため非常に助かりました。
— Autify導入の決め手や社内承認に関してお聞かせください。
慶田さん:コスト面でSaaSの導入は判断に迷うこともありますが、Autifyの場合コストメリットが出せることが明確であり、それが決定打になりました。Autifyなら、一度テストシナリオを作れば継続的にテスト工数が削減可能である見通しが立ち、その点も導入の決め手となりました。
導入においては、Autifyでテスト可能な箇所と手動でテストする箇所を分類し、自動化によって削減される想定工数を試算した上で、上層部に説明しました。承認はスムーズでした。
— 導入後、現場にオペレーションを落とし込む際の難しさはありましたか?
慶田さん:シナリオを作成する弊社の担当者が、トライアルでAutifyの操作に慣れていたため、問題ありませんでした。新入社員にもレクチャーする必要もなく、Autifyヘルプセンターのドキュメントを確認しながら進めてもらいました。多くの開発ツールはヘルプセンターのドキュメントは英語だと思いますが、Autifyは日本語のドキュメントも用意されている点はメリットだと思います。カスタマーサポートの返答の速さにも驚きました。ケースによっては、そのシナリオの中身まで確認した上で調べていただくこともあり、手厚い対応でとても助かっています。
— 操作性の高さ以外で、Autifyの利点はありますか?
山本さん:新しいSaaSやツールを導入する場合、社内での承認が必要ですが、その過程でもAutifyの営業担当の方がサポートしてくださいました。Autifyの方々は、何か困ったときに必ず解決策を出してくださるので本当に助かっています。
慶田さん:複数部署でAutifyを利用する際に、カスタマーサクセス担当の方がおすすめの実施方法をご紹介してくださったり、柔軟に対応いただき助かりました。
— 異なるプロダクトでのAutifyの利用方法についても、お伺いしたいです。
山本さん:自社で開発提供をしている学習系サービスと文章校正システム「review-it! for Package」の開発プロセスでAutifyを使い始めたところです。両チームとも同じAutifyのワークスペースを共有しているため、ノウハウも共有できています。弊社全体のツールの導入などを横展開する、サービスマネジメント本部という部署を起点に、慶田がAutifyの啓蒙活動をしたこともあり、社内で利用者が拡大しつつあります。
慶田さん:サービスマネジメント本部は、組織全体の生産性を向上することがミッションでもあるので、新たなツールを検討する中で以前からAutifyも候補にあったようです。我々が利用していることやその評価もふまえ、まずはICT開発センター全体での導入を推進してもらいました。ICT開発センター内部で、最近取り組んだ案件や、トライしたことなどを共有する勉強会を月に一度開催しているのですが、その勉強会でAutifyを活用した自動テストの取り組みについても共有しました。
— Autifyに今後期待する点がありましたらお聞かせください。
山本さん:テスト設計からAutifyが活用できるようになると、より便利だと感じます。テスト設計については、細かくテストを作る人、ざっくり作る人など、人によってばらつきがあるところが悩みなので、テストシナリオを作成するよりも上流の作業で役立つ機能があると嬉しいです。
— ありがとうございます。そのようなご意見を頂くことが多く、今後弊社は新たなサービスを提供することを予定しております。最後に、みなさまの今後の目標についてもお聞かせください。
慶田さん:現在担当しているシステムについて自動テストのカバレッジの向上を進めたいです。今後は担当システムに対して新たな機能追加や改善項目も確定しているため、より高いクオリティでスピーディにお客様のご要望に対応して、機能追加できるようにしたいです。
山本さん:Autifyで実行している自動テストをCI/CD(継続的インテグレーションおよび継続的デリバリー)のフローに組み込むことで、より自動化のメリットを最大化させたいです。そして、お客様の要望に対して迅速に応えられるような開発体制を構築することを目標にしています。
— お時間をいただき、ありがとうございました!
(了)